thorn&vein
植物の棘から着想を得た作品である。
作品の棘が折れると様々な色が見え、どの棘が折れるか、どの棘を折るか、まるでヴィンテージデニムの様、保有者によって変化してゆく。
そして形や大きさは棘の個体によって不均一なので直射日光によっても見え方が変わるのである。
私はその変化に着目しており、絵画には望ましくない経年劣化を”経年変化”として再解釈した。
従来絵画は作家のみが手を加えるものであるう。
しかし”thorn”は作家と保有者が互いに手を加え想いとともに作り上げてゆく作品なのである。
“vein”は、名前の通り血管からインスピレーションを受けてできた作品であるどれだけ”棘”がある人も、捉え方によっては愛を表す事もあるだろう。
繊細な棘が折れた時、その人が持つ優しさの色が見えてくる。
人間関係が疎遠になりつつあるこの時代に、私は棘一つでそれぞれが持つ心の優しさや人と人の繋がりを確かめていきたい。